高札場の 高札を これまで紹介して来ました。
   その第3の制札は、道徳の制札です。

五倫 高札場 杉戸宿
  高札場には無いようなので 杉戸町の図書館資料のものです

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    定

一 人たるもの五倫之道
  を正しくすべき事
一 鰥寡孤獨癈疾
  之ものを可憫事
一 人を殺し家を焼き
  財を盗むホの悪業ある
  ましき事

 慶応四年三月   太政官

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           定

一 人間であるならば「五倫の道」(父子の親,君臣の義,夫婦の別,長幼の序,朋友の信)を
   正しく守らなくてはならない。
一 鰥寡孤独(かんかこどく=歳を取って独り身となった老人たち、親のいない子供たち)の人や、
   重い病気や重い障害がいをもつ人を、哀われまなければならない。
一 人を殺したり、家を焼き払ったり、財産を盗むなどの悪い行為をしてはならない。

 (1868年 明治元年)
  
慶応四年三月     太政官

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  ※太政官(だじょうかん)
    江戸幕府から明治新政権に変わり、それまでの幕府や天皇律令制度での、幕府、征夷大将軍や関白、摂政などの政治機関を廃止し、天皇の下に、総裁、議定、参与の三職を置き、下部組織も整えた。明治18年の内閣制度が発足するまで続いた。

  ※五倫(ごりん)
    儒教における五つの基本的な人間関係を規律する五つの徳目。すなわち父子の親,君臣の義,夫婦の別,長幼の序,朋友の信をいう。 「父子親(しん)有り、君臣義あり、夫婦別(べつ)あり、長幼叙(じょ)(序)有り、朋友信有らしむ。」と、江戸時代の寺子屋で教えられた。





鰥寡孤独(かんかこどく)
  とは、
 奈良時代 律令(りつりょう)制において 国家による救済対象とみなされた家族構成のことです。

古くは中国『孟子』(梁恵王篇下)に 登場する言葉である。
  中国の法令「律令」、
  それにならった日本の「律令」で、支援すべき人達の基本としてあげられている。
  そして
  日本では平安初期の法律解説書である『令義解』の注釈にて 具体的な解説が載せられている。

  私の大学院での勉強は 専攻した日本古代史で、「令義解」(りょうのぎげ)でした。
  懐かしい 言葉です。

 「鰥」(かん)とは 61歳以上のやもめ(妻を亡くした夫)、
 「寡」(か)とは 50歳以上の未亡人、
 「孤(こ)(惸じゅん)」とは 16歳以下の父親のいない子供、
 「独」(どく)は 61歳以上の子供がいない者を指した。
    が、実際の運営上は鰥は60歳以上、独は50歳以上とされていた。
    律令の「戸令」では鰥寡孤独のうち、生活が困難な者に対しては三親等以内の者に対して扶養義務を課し、
    それが不可能な場合には地域(坊里)で面倒をみるものとされた。
    また、賑給(しんごう:手当て・支援)に際しては 高齢者とともに支給の優先対象とされていた。

これが、明治維新の際に 新政府が全国民向けに発出した「五榜の掲示(ごぼうのけいじ)」においても、
    上記のように 第一札で「鰥寡孤独廃疾ノモノヲ憐ムベキ事」が 再び定められた。



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2016.11.21
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